花だより

河太郎

小唄解説~木村菊太郎著より~

鈴木秀雄詞 初代佐藤章子曲

すすきかついだ河太郎
南瓜畑をぶらぶらと 酒か団子かいい機嫌
用水堀も薄どろを 誘う雨気の小夜更けて
月に遠音の村囃子

​この小唄は鈴木秀雄が帝展に出品された河童の絵を見て作詞したといわれている。
河童は伝説の動物で、大川或いは大沼もしくは海に棲み、「河太郎」と異名されている。
小唄の前半は、仲秋の月見と洒落た河太郎が陸に上がって、すすきをかついで南瓜畑をぶらつく所である。
「用水堀も薄どろを・・・・」は、側を流れる用水堀の音が、芝居で幽霊の出るときに使う「薄ドロの音」(太鼓だけがかすめて打ち続ける囃子の一種)に似て、雨気を誘う南瓜畑のなかで、折から秋の収穫を終わった後のお祭りの村囃子の遠音に合わせて、河太郎が奇妙な格好で踊り始める所である。
瓢逸な作詞と、二上りの軽妙な作曲で章子の最高傑作である。

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