花だより

たらちねの

小唄解説~木村菊太郎著より~

たらちねの 許さぬ仲の好いた同士
許さんせ罰当たり 猫の皮じゃと思わんせ
惚れたに嘘は夏の月 秋という字はないわいな

「たらちね」は垂乳根で親の枕言葉。
「罰当たり」は撥あたりで、三味線の胴に貼った猫の皮を指し「秋という字」は飽きるに掛けた語である。
この上方小唄は江戸で作られ、のち上方に伝わったもので、幕末江戸端歌としてうたわれ、江戸小唄に採られたものである。

[註]ここで廓に関する言葉の一,二を解説すると
(イ)「ぞめく」とは、騒ぐと書く。浮かれ騒ぐことから、遊び人などが遊郭に入ることをいう古語。
(ロ)「そそる」とは「ぞめく」と同じ。専ら江戸で用いた言葉。
(ハ)「冷かす」とは、悪口などをして興をさますことで、ぞめく又はそそると同じ意味に用いられる。この語源は、山谷の紙すきの職人たちが、紙の種を水につけておいて、その冷やけるまでに廓の中の賑わいを見物して帰るということから出たと言われる。

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