きりぎりす
曲 清元お葉
きりぎりす そなたの足は 細くて長くて
何故にちっくり曲がってる
それでなければ エエちょいと跳ねてとまられぬ
安永年間(1772-80)に流行した上方小唄「九色唱歌」という九つの小唄の中に
「ええきりぎりす そなたの足は 何故にぎっくり曲がった これでなければナ ちょいとはねてはとまられぬ」
があったが、その後調がたえていたのを、明治になって清元お葉が江戸小唄に作曲したと伝えられている。
歌詞はきりぎりすの格好を巧みにうたった童謡のような、江戸時代には珍しい歌詞であるが、お葉の手付は流石にしっかりしていて、三味線の手がこまかく、唄はその細かな手を縫って唄う様にできているので唄うに難しく、初心の人には到底唄い切れない。
変わった珍しい江戸小唄なので、とっておきたい唄の一つである。
(「江戸小唄の話」)
[註]きりぎりす=万葉時代からきりぎりすは和歌や俳句に詠まれているが、昔は
コオロギのことをきりぎりすと呼んだ。