小唄の発祥
現在の三味線歌曲の一種で清元節(きよもとぶし)の演奏家が、江戸の町で流行り歌として唄われていた端唄(はうた)を渋めに作り替え、余技的に唄った小曲が現在の小唄(江戸小唄)の始まりです。
二世 清元延寿太夫の娘お葉(1840~1901)はその創始者で、多くの小唄を作曲しました。
小唄の個性
特徴的なひとつに唄い方が上げられますが、歌うでもなく語るでもなく話す心構えで演奏されます。
伴奏に用いる三味線は撥(ばち)を使わず”爪弾き”という技法で、右人さし指の指先の肉の部分でやわらかい音色を作ります。
又、小唄には伝統的な邦楽の粋(すい)を集め凝縮した作品も多く、長い曲で五分、短い曲で一分足らずの親しみやすい小品ですが、奥行きのある大変魅力あるものです。
小唄と端唄
歌詞にしても共通なものが多くありますが、端唄は三味線の曲に合わせて唄い、声と節回しを聴かせるもので、撥弾きです。
小唄は歌詞の面白味を聴かせ、三味線の旋律から少し離れて唄い、爪弾きです。
端唄の華やかなものが多いのに対して、小唄はくすんだ美しさ(渋み)が特徴です。
邦楽の特徴
西洋音楽は数学的に構築された音楽といえますが、これに比べて邦楽は多分に感覚的な音楽です。
まず言葉(歌詞)が優先し、その後に音楽的な肉付けがなされます。
その言葉の感情の起伏・抑揚に応じて、メロディーやリズムが自由に変動する極めて精神的なものです。